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人間交差点レビュー第1話「ガラスの靴ははかない」

さて人間交差点レビュー第1話である。第1話といっても、この漫画正式に話数がカウントされている訳ではなく、各巻完結で話数がふられており、正確には「第1巻の第1話」である。まぁせっかくなので、このレビューでは通算何話でナンバリングしていこうかな、とはおもっているのだけれど。少なくとも何巻の何話、通算何話、というのはわかるようにしていきましょう。
あ、ここで言う巻数は、コミック版ね。つまりこのレビューはコミック版を底本としております、ということで。

では早速1話のあらすじから。大体こんな感じ。


恋人を殺した罪で服役中の松沢は、刑務所の医務室で妊娠5ヶ月である事を告げられる。あの憎らしい男の子供なら、あいつが死んだ後でも憎む事が出来るだろう、と憎むために出産することを決意するのだった。そして生まれた憎らしいあの男の子供を虐待する松沢。しかしそのあまりの有様に監察医から子育て能力なしと見なされ子供を引きはがされてしまう。そして月日は流れ出所の日、松沢が向かった先は・・・


というもの。


第1話からその特徴が出ているように、初期の人間交差点はやたらと監獄ものが多い。刑務所に居る人間というのは、たいてい何らかの犯罪を犯している人間であり、その理由を詰めて行くと、普通の状況では見えてこない人間の本性の部分が多く見えてくるから、とかなんだろうね。
そんなわけで早速監獄、かつ人殺しが登場しており、殺人シーンでの謎ポエムもしっかりあるので、1話にして人間交差点のエッセンス満載である。ただ、満載であるが故にいろんな方向にエッセンスが向いていて、中盤脂ののって来た頃のようにたった1点でぐっと絞ったりしていないのが、習作っぽい感じが出ていて、非常に第1話であるが故の迷いみたいのも感じられるので非常に良い。


物語のラストシーンの松沢の行動。あれが人間交差点の全てのテーマ(だと僕が勝手に思っている)である「愛する者が居て、一生懸命行きていれば、必ず何かいい事がある」だよな、と思う訳ですよ。やっぱりどんだけ憎んで憎んだ相手であっても、それよりも母親としての情愛というのは勝り、そういう根源的なところで正直に生きていくのが、きっと正解なんだろう。人生における正解なんてそう多くはないけど、「子供の事を愛する」というのはその数少ない正解の中の1つであることを、強烈に教えてくれる物語なのである。