人間交差点全話レビュー#0 巻頭言〜美しい人生よ、限りない喜びよ

映画の「レ・ミゼラブル」を見て来たんですよ。物語はもうみなさんご存知の大古典。それがミュージカルになり数十年、満を持しての映画化というもの。
まぁ話は知ってるし、なんというかまぁミュージカルだなぁ〜。急に歌うよ!どころかずっと歌ってるよ!ささやきですらリズムに乗って、苦しむうめき声すらメロディに乗る。なんとまぁ。
それにしても「よくあるベタな展開!」である。まぁこの物語自体が数百年前の物なので、このベタさ加減が他の物語に受け継がれて行った!と考えるべきであろうよ。あ〜それにしても長いな、長いな、これ歌歌ってなかったら暗いし長いしとても見るのが辛い話だよな〜。はぁあ〜クライマックスも過ぎたしもうすぐやる事無くなって死ぬよな。うん。うん。えっあっあれえっ



からのラストシーンでまさかの大号泣。いやもう、自分でもびっくりするぐらい。滂沱の涙が止まらないわヒックヒックしゃくりあげるわでもうどうにも止まらん。
これはヤバイ嫁に見られたら大変だと慌てて裾で涙をぬぐっても止まらん物はとまらん。(後で聞いたら嫁はそんとき隣で大泣きしてる人がいて笑いを堪えるのに必死だったらしい)



とまぁそんな有様だったわけなんですよ。で、よくよく考えてみれば、この前に映画で大泣きしたのは「ライフ・イズ・ビューティフル」のラストシーンだし、その前は「素晴らしき哉、人生!」のラストシーンだし、さらにさかのぼれば「ハチ公物語」のラストシーンである。多分素晴らしき哉、人生はもう10回ぐらい見てるけど何度見ても元気が出る。ホント生きてるだけで素晴らしいよ。ホント。
つまりあれだ、この大きな人間讃歌(最後のは犬讃歌かもしれないが)の大団円、あるいは終末シーンにものすごく弱いみたいだ。人生を一生懸命やりきって、最後の最後に何かしらの形で救われる。結局そんな「生きているって素晴らしい」以上の物語なんて存在しないのだ。







さて、そんな文脈に沿った時に、僕が特に好きな漫画に「人間交差点」というものがあります。
これこそまさに1話完結の人間讃歌ですよ。よく人が死ぬ、年を取って人が死に、事故で人が死に、愛憎で人が死ぬ。
ただ、それ以上に人は生きていく。いろんな事がある、もう戻らない瞬間の大事な物を持ったまま。そんなちょっとした人間の生きていくための「情」みたいなものがそこにある。
まぁいいや、その辺の感想はさておき。


割と僕自身はそんなに「情」というものや、感情の機微を理解しない人生を歩んで来ていて、すぐシステマティックに「この面白さの要素は・・」みたいなことを考えたり、せっかちにも「要はポイントは3つあって」とか考えちゃうの。だから、一旦そういうのから離れて、思うがままに情に流され、それを感じたままを文章に残したりしようかな、というふうに思い至りました。そうして、人間の情をいろいろ考えて行くにつれて、あの涙が止まらない映画達の見方も変わってくるかもしれないな、と。


というわけで、人間交差点の全話レビューをやろうと思います。
もちろん今から二百数十のエントリーを連続で起こすつもりは無く、数回〜十数回に1回の不定期連載になるかと思いますが、やってみようと思います。
こういう「やり遂げなければいけないこと」をおいておけば、ブログをさぼったりしないんじゃないかな!という下心も少しありますけどね。


そんなわけで初回がいつになるか、がまだわからないけど、地道にやって行こうと思います。


このブログは、「人間交差点レビューブログ」です。