艦これのイベントについて僕も考えてみた

艦これ楽しいな!

艦隊これくしょん(艦これ)がすごいブームというわけで。私も随分楽しくプレイさせていただいております。
どんなゲームかを簡単に言うと、旧日本軍(今の所)の艦船を二次元女の子キャラにした「艦娘」たちを集めて艦隊を編成し、資源をマネージしながら新しい艦娘の収集と艦隊の強化を進めていく、というようなゲームです。
信長の野望に始まるシミュレーションゲーム大好きの系譜をたどってきている私がこのゲームにハマらないわけがなく、日々資源をチマチマと集めては、出撃してドカーンと闘っているわけであります。



艦これのイベントで論争

さて、そんな艦これですが、期間限定のイベント海域というものが現在展開されております(秋イベントは来週まで)。なにやらそれについてはいろいろとご意見があるようでして、
艦これイベントについての感想 http://togetter.com/li/590386
こういうのとか。
要は、このイベントが、ユーザー100万人に対して、数万人程度のクリアなので、クリア率数%(アクティブユーザー比率で考えたらもうちょっと高いんでしょうけど)なのですが、その為の条件として「運に頼りすぎている」「長時間の貼りつきじゃないといけない」「精神をすりつぶす」などと言った不満が出て来ているという訳ですね
それに対して、「全員クリアできる仕様にしても仕方がない」「むしろ攻略ルートを開拓するところが醍醐味であり、後追いでそのルートを追いかけても運ゲーだと感じるのは当たり前だ」という逆反論もあり、なかなか難しいところですね。



私も考えてみました

それについて、なにやら艦これのゲーム性とは何かみたいな話がいろいろと飛び交っておりましたので、それに便乗して僕もつらつらと考えてみた、というものであります。私は運良くクリアが出来たわけですが、
考えなきゃいけないポイントとしては、
・クリア率数%という指標は妥当なのか
・そのために行うべき仕掛けとはどういうものであるべきなのか
・それを今の艦これというゲームのシステムでどの程度実現出来るのか
ってところなんですかね。


まとめ

・・・というあたりについて、いろいろ考えた結果、すごく長くなったので、まとめを置いておきます。多分こんな感じの事を言いたいんだということで。お時間のない方はこれだけでもどうぞ。

  • 艦隊これくしょんは、ゲームとしてはえらい単純な作りであるので、難易度を調整するための軸が不足している。そのため、運要素をある程度盛り込まざるを得ない。
  • しかし、その運要素によって救われている人もいると思うので、一概に運だからクソではなくて、運の良い人とそうでない人がいる、という話で理解するしかない。
  • 一方で、兵站のゲームとはよく言ったもので、ある程度の運要素は吹っ飛ばせるほど、資源は重要であり、資源がふんだんにあれば割と何とでもできる。
  • なのでプレイの仕方としては、クリアの可能性がある艦隊と資源を準備してしまえば、あとは個別の出撃の結果には一切一喜一憂する事無く、淡々と「資源が尽きるまで出撃を繰り返す」という事になるんだろう。(リアルプレイ時間の制約は多少の救済は必要かも?)
  • ただ、再度言いますけど、その単純すぎるゲームシステムが故に、難易度設定の軸を出しづらいあたり、こういったイベントをプレイさせるゲームとしては、次の広がりを出しにくい、ある種の限界なのかな、という気もする

というもの。




そもそも、ゲームの難しさ、クリア人数の絞り方って何があるんだっけ?


まずその、ゲームのプレイ難易度を上げる軸ってすごい難しいよね。100万人いて、1万人程度しかクリア出来ないぐらいの難易度を設定するときにどうするかって話なんだと思うけど。ではどんな軸でその
指標をクリアさせるようにするか。なんかよくわかんないけどいくつか考えてみた。

パターン①競わせる。

対戦格闘形式か何かで、何勝勝ち抜かないとダメとか。そうでなくても○回チャレンジ権のあるブリーダーズカップで優勝しないとダメ的な。
これのいいところは、強制的に勝者と敗者が出るので、達成者はある程度絞り込むことが出来ますね。相手がいる話なので。
一方で、勝てない人から「不公平だ!」という声が出てくるような気がしますね。何故かと言うと、実力100のA君がいたとして、対戦相手が120のB君になら負けるし、80のC君なら勝てる。じゃあB君とC君どっちと当たるの?というのが明確でないと不公平だ!なーんてことを言い出す人がでるかもわかりませんね。



パターン②選択肢を絞る。

信長の野望でいう「姉小路プレイ」みたいなもの。姉小路を選択した時点で通常のプレイをしてたらすぐ信長が攻めてきて滅ぼされる。そうしないために、限られたリソースをどれに使うか、という。例えばこれを「信長の野望発表後1か月以内に姉小路プレイでクリアせよ」とかだったら、各自で攻略ルートを考えて・・・とかやってるうちに時間切れを迎えて出来る人、出来ない人の差がつくよね。
これでクリアできない人が感じる不公平感は、なんだろう、基本的にそれは「プレイ時間」に依存する、というものかしらね。限られた選択肢からのベストウェイを見つけだして、それが成功するまでトライして結果を確認するための試行時間をどれだけ取れるか。その時間が取れない人間にとっては不公平、というものでしょうな。
まぁその、最近だとすぐ攻略方法がネットでバーっと広まるので、「最善手を尽くして後はお祈り(AIが姉小路を初手ターンで攻めてこない可能性に賭ける」みたいな所まですぐいくので、その時点での成否にかかるという意味では、「費やした時間によって差がでる不公平なゲーム」ではなくて、「運によって左右される不公平なゲーム」という事になるのかもしれません。



パターン③フィジカル勝負

後はなんでしょうね、それこそ普通に「操作系で勝負する」みたいな話なのかもしれません。シューティングとかの避けるゲームや、音ゲーのBPM240みたいな曲とか、それこそSASUKEとかゲームで言ったら究極の操作系ゲームでしょう。これでテストプレイして100人に1人ぐらいしかクリアできない難易度設定にしたら、これはこれで出来上がりですよね。
それに対して、クリアできない人は単純に「Giftに依存するなんてひどい!」みたいな事を言うでしょうね。



他に何かあったら教えてください




じゃあ艦これってどんなゲームだっけ

とまぁそんなこんなでゲームにおけるクリア者数の絞り込み方と、その対策・勝ちパターンの導出と、勝てない場合に出てきそうな不満についていくつか考えてみました。その類型に当てはめてみた時に、艦隊これくしょんのイベントがどんな位置付けになっているのかについて考えてみようと思います。

まず、艦隊これくしょんは、ゲームとしてはえらい単純なつくりになっています。

基本的には4種類の資源の特徴を踏まえて「資源を増やす」「増やした資源を使う」の2つの作業を行っていく、というだけのものです。増やし方は「自然増」「遠征による取得」「攻略マップ上での取得」という3種類プラスαぐらいしかないですし、使い方も大きく分ければ「出撃」「建造」「開発」ぐらいしかありません。

艦隊のパラメータも、基本的にはレベルが上がれば能力が上がるのですが、「近代化改修」と言う方法でレベルの先食いが出来るので、一部の能力を除いて、基本的にレベルによる差はそんなに大きくはありません。


資源を増やして、資源を使う。この繰り返しでマップを攻略したり、新しい艦娘をゲットしたり、というのを繰り返していく単純な資源マネジメントゲーム、という事になります。以下ゲームをしてないとわからない表現とか出てくるかもしれませんが、そのへんは適当に流したらいいんだと思います。
そんな単純なゲームにおける、今回のイベントではどのようなハードルが用意されていたのでしょうか。


イベントのつくり

基本的には、難易度の高い(クリア者数が少ない)とされる、E-4とE-5ステージの話をします。両者とも多少の違いはあれども、イベントマップに出撃をしてボスを倒せばいいわけなんですが、それにあたっていくつかのハードルは設定されています。大まかに分けると以下の3つ

・強いボスを、限られた時間内に何回も倒す必要がある
・ボスまでの道中、相手の攻撃を食らったら撤退しなければならない
・マップの分岐点で、ボスに到達しない事がある

以下それぞれについて考察するんですけど、先に感想を書いておくと、やっぱり単純なゲームだけあって、ハードルと出来そうな、差を付けられそうな要素が少ないなぁ〜ということなんですね。となると、自然と「運」的なもので差を付けようとするのも、そうせざるを得ないのかな・・・と仕方ないのかなと所はある訳です。


以下3つのハードルについて


強いボスを、限られた時間内に何回も倒す必要がある

については、ボスを倒さないと話になりません。しかも、何回も倒す必要があります。ゲージ回復形式になっているので、1回ボスを倒しても、何時間か放っておくと、その1回が無駄になってしまいます。よって、そのゲージが回復する前にボスを倒さなければなりません。

攻略方法:ボスを倒しやすい艦隊を組成する、ボスを倒しやすい装備を組む、支援艦隊を出す、(それなりの)短時間で一気に何度もボスにアタックして倒す
ということになります。

依存条件:それでも100%倒せるわけではありません。装備が弱かったり、支援艦隊を出さなかったりすると、倒せる可能性は減ります。また、万全を期していても、プレイヤーが攻撃先を指定できるわけではないので、攻撃の順番によってはボスを倒すに至らない事があります。
→ボスを倒しそこねる確率α%



次の、


ボスまでの道中、相手の攻撃を食らったら撤退しなければならない

これについては、相手はボスだけではありません。途中のエリアに出てくる敵からの攻撃をよけたり、最低限のダメージで乗り切らなければなりません。ダメージが大きいと、こちらの艦隊が轟沈(ロスト)したり、相手への攻撃力が著しく下がってボスを倒せなかったり、と散々な目に合ってしまいます。そんな時はいったん撤退し、再度設備を整えて出撃する、ということになります。


攻略方法:士気を高めてダメージを軽減する、レベルを上げて回避値を上げる、敵の攻撃を食らう前になるべく倒せるように火力を強化する、等



依存条件:あくまで上記の方法は「攻撃を食らった時に大ダメージを食らう確率を減らす」というたぐいのものであり、一定の確率で道中大ダメージを食らってしまう
→大ダメージを食らう確率β%




最後の

マップの分岐点で、ボスに到達しない事がある

これは通称「お仕置き部屋」という、ボスじゃないエリアに行ってしまう事なんですね。これについては、基本的に運ベースと言うか、回避の使用が無い。一部回避しやすい艦隊編成、などというものもありますが、とはいえ一定の確率でボスには到達しません。
攻略方法:無し
依存条件:完全に運
→ボスに到達しない確率γ%

というここですね。ここが結構「完全に運」の世界になってしまっている最大のポイントかな、と思います。



どうしたらクリアなのか?

てな感じのハードルになっております。
以上を踏まえれば、単純なゲームなので、大よそどのくらいの出撃をしたら倒せるのか、というのが計算式で模す事が出来てしまいますね。



クリアに必要な出撃回数=必要なボスを倒す回数÷(1-α%)÷(1-β%)÷(1-γ%)



ということになります。
10回倒す必要があって、倒し損ねる確率が10%、ダメージ撤退の確率が10%、ボス到達しない確率が10%なら、
10/0.9/0.9/0.9=およそ14回、的な。
同じ10回でも、それぞれ30%、40%、50%なら48回というような感じになります。




んで、1回出撃して戻ってくるのに、ある程度の数資源を消費するわけですんで、勝ち方としては、上記で言えばある程度失敗する可能性を見込んだうえで、48回出撃するに堪えうる資源を用意して臨めば良い、ということになります。
先行して攻略した人たちの情報から、α、β、γそれぞれの数字と、多少なりともいい方に変動させる方法(α、β)はあるので、それを踏まえりゃ必要な資源もわかるだろうし、自分自身の運の可能性を含めたバッファを用意するなら、用意しておけばいい、というところでしょうか。これも先人の知恵から、イベント開始後数日ではある程度見えていた話。
ええと、「48回出撃が必要→48回分の資材を用意」、だとちょっとアンラッキーが重なったら資源が尽きてアウト、になってしまうので60回分用意しておく、とかそういう話ですね。


この辺が兵站のゲームとされるところで、多分ここまで用意したら、このゲームとしてはほぼ終わりなんですよね。個別の出撃については捨象されるというか、「48回分出撃出来る用意をして、48回の出撃を試行する中でクリア出来るかどうか」を競うゲームなんだな、という感じです。
なのでイベントの正しい進め方は、1回の出撃の結果で一喜一憂する事無く、淡々と出撃と次の準備をクリア出来るまで、繰り返す、というもの。
その過程で、30回でいけるかもしれないし、50回かかるかもしれないし、80回かかっちゃう(しかしその実70回分の準備しか出来なかったので残念ながらクリア出来ず)みたいなこともあるかもしれません。

(資源の量はあくまで運要素を補完するためのバッファなので、運要素そのものをどうにかできるわけではない点は留意。)



結局運ゲーというのは間違ってないんだろうとおもう

以上の事から、僕は基本的にこのゲームは「運ゲーだ!」というのはその通りだなぁ、と同意します。

資源があれば基本的には「運要素」をバッファとして取り込むことが出来るので、それだけの準備をしておけば80%クリアできはするんですけどね。ただおそらく一定数クリア出来ない人が出て来て、そういった人たちが「運ゲー」というのはもう外しようの無い本当の事なので、仕方ないなとは思います。私自身そっち側に転んでいる可能性だって十分あった訳ですから。


しかしまぁ、先ほど資源である程度運要素をカバー出来るという話をしました。そのあたりが足りずにクリア出来る可能性を30%とか50%ぐらいの段階で無理に攻めた結果クリア出来なかったとして、その時に「運ゲーだ!」というのにはあまり賛同できないな、という感じです。
やれることはあるだろう、というあたり。



では、どういうゲームであればよかったのか。

なんでこんな事になってしまうかというと、何度も言ってますがえらい単純なゲームのつくりなのでこういう確率めいたもので難易度を変動させるぐらいしかねえんだな、、、というあたりいろんな限界を感じたりもします。


さっき、変動要素の内αとβについては、ある程度確率を下げる事が出来る一方で、γだけは完全にコントロールできない世界になっているという話をしました。

より好ましいゲームのあり方としては、これをなくして、αとβの難易度をさらに上げるという調整も可能だったかもしれません。その場合は運<<<やりこみ要素(レベルを上げる、良い装備を持つ)になるので、やりこんだ人間ほど有利、という普通のゲームのような構造になります。現在誰にもコントロールできないγの存在によって、そこまでやりこんだプレイヤーでなくても救済される、という側面もあるんじゃないのかな、と思います。



あと48回連続出撃する時間取れねえとか、もどかしい、ってのはもあるのかなと思います。私の場合は別の事とかしながら、その合間合間にポチポチとボタンを押すだけで進められたのでそこまでストレスは感じませんでしたが、綺麗にゲームを1日1時間を守っている優等生プレイヤーが勝てないじゃないか!というような話は十分あろうかな、と思います。忙しい社会人の人とかね。

そのへんは「一度イベントが始まったら時間の条件がロックされる」みたいな仕組みがあってもよかったのかもしれませんね。そのイベントプレイ中は、ゲージの回復が無い代わりに、時間経過によるプレイ上の便益も一切なくなる、みたいな。
まぁそういうところまでうまく調整が出来ていない、追いついていない、というところなのかもしれませんね。

具体的には

今後、運要素(γのような)以外で、どのような方向性で難易度を調整できるのか。いくつか考えてみました。


・複数艦隊のコントロール
現状では6隻の艦隊だけで出撃してますが、これの数を増やしていく(現時点でも支援艦隊のシステムはありますが、よりコントロール性を高める)とか。その分敵が強くなって、どのように運用するかの自由度を高めていく


・パラメータの数、上限を上げる
艦隊のレベルの差を出す。これはよりやりこんだ人間を有利にするものなのですけどね。そのほうがフェア、という人もいるかもしれませんし、いないかもしれません。



・対戦要素の取り入れ
上記で言ってた難易度調整のパターン①の話ですよね。プレイヤー同士の対戦で勝ち抜いた人間だけが栄光を味わえる、的な。



というわけで、長々と書いてきましたがおおよそのまとめをまた再掲。



  • 艦隊これくしょんは、ゲームとしてはえらい単純な作りであるので、難易度を調整するための軸が不足している。そのため、運要素をある程度盛り込まざるを得ない。
  • しかし、その運要素によって救われている人もいると思うので、一概に運だからクソではなくて、運の良い人とそうでない人がいる、という話で理解するしかない。
  • 一方で、兵站のゲームとはよく言ったもので、ある程度の運要素は吹っ飛ばせるほど、資源は重要であり、資源がふんだんにあれば割と何とでもできる。
  • なのでプレイの仕方としては、クリアの可能性がある艦隊と資源を準備してしまえば、あとは個別の出撃の結果には一切一喜一憂する事無く、淡々と「資源が尽きるまで出撃を繰り返す」という事になるんだろう。(リアルプレイ時間の制約は多少の救済は必要かも?)
  • ただ、再度言いますけど、その単純すぎるゲームシステムが故に、難易度設定の軸を出しづらいあたり、こういったイベントをプレイさせるゲームとしては、次の広がりを出しにくい、ある種の限界なのかな、という気もする

というところでしょうか。

まぁその、わざと艦これのもう1つの側面である「キャラゲー」の部分を完全にすっ飛ばしてましたが、今後はむしろそっちの方向で突き進んで行くんですかね。

個人的な希望としては、ぜひせっかく立ち上がって来たこのキャラ達を使っていろんな旧作の名作ゲームをリメイク(あるいはオマージュ的な何か)するのとかやってほしいなぁと思っております。艦娘のキャラクターを使ったファイアーエムブレムタクティクスオウガダービースタリオンパワプロ提督の決断あたりが出来てくれたら僕はとても楽しくのめりこんでいくと思います。


いじょ